ネスレとルツェルン音楽祭-「ボローニャ紀行」
ネスレとルツェルン音楽祭-「ボローニャ紀行」
憲法9条の会呼びかけ人でもある作家井上ひさしさんの近著「ボローニャ紀行」にネスレとルチェルン音楽祭が出てきます。
この「ボローニャ紀行」(文藝春秋刊 2008年3月1日第一刷)は、『イタリアの街から世界の在り方を考える-ただ愉しむだけが旅なのではない、こんなふうに旅は思考の場所かもしれない』という単行本の帯の宣伝文句に釣られて書店で手に取りました。
この書物は題名に騙されてはいけません。単なる紀行文ではありません。何しろあの井上ひさしさんの手によるものですから。しかし、豊かな学識と辛辣な批判精神をユーモアに包み、読む者を飽きさせないところはさすがです。
日本を始め世界中でさかんに「ボローニャ方式」に学ぼうと言われているのが少しは判ったような気になる本です。中小企業再生、行政改革、地方分権、教育、介護等々をものの見事に解決してきたかに見える「ボローニャ方式」の本質とは何なのか、よく考えさせられました。
そして、ルツェルン音楽祭(ルツェルン・フェスティバル)のことですが、60年以上の伝統と歴史を誇り、3月に行なわれる<イースター音楽祭>、8月から9月にかけて開催される<夏の音楽祭>、11月の<ピアノ音楽祭>と大きく3つの音楽祭から構成され、毎年10万人以上の観客が訪れる一大フェスティバル。中でも<夏の音楽祭>は、地元スイスのみならず国際的にも注目を集める重要な音楽祭の一つと位置づけされているそうです。http://www.lucernefestival.ch/
さて、ネスレとルツェルン音楽祭のはなしです。井上ひさし氏の同書から引用させていただきます。
―― ボローニャでよく見られる銀行財団支援方式は、世界各地に広まっています。わたしの知っているところでは、スイスのルツェルン国際音楽祭がその好例でしょう。ちなみにルツェルン市は、チューリッヒから南南西に約60キロほど行ったところにあるアルプス観光の基地です。第二次世界大戦前夜の1938年、指揮者のツカニーニが反ナチの音楽家たちを集めて国際音楽祭を開きました。そして、毎年つづけられていたのですが、もうひとつぱっとしない。ところが1997年に、ミヒャエル・ヘフリンガーというスイス人のヴァイオリニストが音楽祭総監督に就任してから、にわかに様子が変わってきました。ボローニャ方式を学んだ彼は、クレディ・スイス銀行を説得、現代音楽を中心にプログラムを組みました。銀行がこのような行動を起こせば、ほかの企業も協力を惜しまない。ネスレやロシュ(製薬会社)も参加、そして10年もしないうちにこの音楽祭は現代音楽の聖地になりました。毎年8万人の音楽好きがやってきて、人口6万5千人の街に44億円のお金を落として行くのです。・・・・ ――
ひとつ付け加えますと、2006年から始まった「ルツェルン・フェスティバル in TOKYO」には、ネスレ日本がスポンサーしています。
ただ井上ひさしさんは、ネスレのコンプライアンス違反や、世界中での労働者弾圧の事実を残念なことに知られてはいないようです。






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